意味不明なのに心を揺さぶるスピッツの歌詞。秘密を草野マサムネのインタビューから解き明かす。

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こんにちは。

にょ犬(@nyoken_musicbox)です。

スピッツは歌詞が良い。

しきりに言われています。

でも「どこがどう良いのか」を答えられる人はあまりいない。

不思議ですよね。

「会いたくて会いたくて震える」のは、

「震えるほど会いたい気持ちに共感できるから良い」と答えられる。

ミリオネアなら初手の問題。

小学生の国語テストなら文章題①の問1。

 

一方、スピッツの歌詞は難問。

テストで出たら捨て問。

詰まると時間配分が狂う。

受験生のみんな気をつけて。

 

でも今回、難攻不落の歌詞を解釈するヒントを先生が差し上げます。

受験生必見ですね。

 

まず、作品の意味を知るには作者を知りましょう。

村上春樹作品が意味不明なら、まずは村上春樹を知る。

村上春樹読んだことないけど。

 

とにもかくにも、

スピッツの歌詞を紐解くには、草野マサムネを掘り下げるのが近道。

彼がインタビューで応えていた内容をバシバシ紹介して、真意をまとめます。

 

※以降は著書「スピッツ」の情報を軸に作成しています。

著書「スピッツ」とは

1stアルバム「スピッツ」から8thアルバム「フェイクファー」まで、スピッツメンバーのインタビューを網羅した最強アイテム。

 

1.性格面

 

①「幼少期から妄想癖が凄い」

インタビュー内容

自分の中にパラレルワールドがいくつもあって全て進行中。

例えば、

1.中世の王家に産まれたけど制度に疑問を感じていて革命を起こそうとしている

2.芸能人の〇〇が総理になっている

3.人類滅亡後に残った種族が文明を悪とみなすが、地中に埋まった飛行機を見つけて飛ばそうと試行錯誤する、

4.自分は小5で野球が下手だけど名コーチに出会って素質を見出されてチームを優勝に導く

5.海水浴中に波にのまれて記憶喪失になり、流れ着いた土佐でカツオ漁師になる

初恋は小6で好きになった小4の子。

色黒で野性的な子だったので、アマゾンの奥地に住んでいる設定にして、

自分は飛行機事故でそこへ落ちていく妄想をしていた。

ボーイッシュな女の子や素朴な文学少女でも、

夜は淫乱だったりすることもある。

それを想像の中で歌に仕上げていく。

ヤバくないですか。

変態度マシマシ。

可愛い顔してクレイジー。

ある意味サイコパス。

ちなみにインタビュー時は20台後半で、「これは一生治らない」とのこと。

自分の中に世界がいくつもあるから、歌詞を膨らませることができるんでしょうね。

妄想癖は作詞家として大事な才能。

 

②「隠されているものは暴きたくて仕方ない」

インタビュー内容

暴きたい!って欲が強いんですよね。

隠されているものがあると、

そこに何があるのか気になって仕方ない

物心ついた頃から、

大きい石の下に何があるのか気になってテコで無理やり持ち上げたり、

空き家を探検したり、エロ本があったら絶対持ち帰って見入ったりしてた

好奇心が強いんですかね。

ちなみに持ち帰ったエロ本ですが、友達と一緒に見ようと思ってバカ正直に誘ったら断られたらしい。

うーんオープンエロ。

高田純次スタイル。

変態ですね。

涙がキラリ☆の「本当はちょっと触りたい」という歌詞について、

「もう一度抱きたい」より100倍エッチ!

と声高に主張していた意味が分かります。

 

また、歌詞によく不気味な言葉が出てきますが、

マサムネ曰く

「世間的にタブーとされているものを引っ張り出すことに快感がある」

ド変態ですね。

例えば、「魔法」「魔女」「死神」「ガイコツ」など。

あと、「月」も妖しい響きがするらしい。

 

③「死に対して様々な感情を覚える」

インタビュー内容

小学校の頃に祖父が2人とも立て続けに亡くなり、

寝ている2人がマネキンみたいに見えて恐怖を感じた。

死んだら地獄か天国に行くという話を聞いて、

地獄でも行き場所があるならそれで良いやと安心した。

大学生の時に友達の彼女が病死して、

「なぜこの子が死ななきゃいけないのか」

という強い悲しみを感じた。

マサムネは「死」について深く考えることが多い。

状況によって「死」の捉え方も変わるけど、やはり根本は「恐怖」

作品からダークな部分ふぁ出てしまうのは、

人に知ってもらうことで恐怖を和らげようとしてる。」

と自己分析しています。

 

1.性格面のまとめ

  1. 妄想癖が強い。
  2. 秘密を暴きたい。
  3. 「死」が怖い。

これらから、

秘密めいたもの(タブー、性的なこと)を暴きたい好奇心が強い一方、「死」に対する恐怖などの臆病さも持ち合わせている。

これらを妄想の中で混ぜ合わせ、時には「自己表現」、時には「逃避」として歌にしている。

といえます。

 

2.技術面

 

①「日本語として自然なアクセントでメロディに乗せる」

インタビュー内容

日本語はアクセントがないと言われるけどそんなことない。

あなたって言葉をメロディに乗せるとしたら、

あ↓な↑た↓という音符じゃないと乗せられない。

あ↓な↑た↑だとダメ。

ちょっと難しいのでこう考えてください。

「あなた」は「TSUTAYA」と同じ発音ですね。

「博多」や「砂場」は違います。

メロディが「博多」と同じ動き方をしている場所に、「あなた」という言葉は使えないということです。

そして、インタビューの続きが以下の通り。

日本のロックはその辺を無視しているものが多く、それに反発があった。

日常で使っている言葉を、

いかに自然にメロディーとリズムにマッチさせていくかは物凄く考えてやっていた。

並々ならぬコダワリを感じますね。

普通に「あなた」を「博多」と同じ発音で使う曲もありますからね。

ベンザブロックのCMソングとか。

「あなたの風邪に狙いを決めてベンザブロック」

 

②「歌詞はメロディーありきで書ける」

インタビュー内容

重要なので、原文まま抜粋します。

でもメロディーがあるから歌詞ができるっていうのもあって。

その辺は詩人というよりは、俳人に近いと言っているんですけど。

俳句って5・7・5の制約があるでしょ?

制約があるからその中に世界を詰め込んで広げていけるという面白みがあって。

それがないとやっぱり作れないですね。

だけど言葉って物凄く数が多いから、

その中からいかにして有効な言葉を探してくるかっていう作業で。

だから俳句とすごく近いと思っているんだけど。

「作詞」≒「俳句」

なるほど。言い得て妙ですね。

①で見た音階の制約に加えて、音数も自然でないといけない。

この非常に厳しい縛りの中から言葉を選び抜いているため、

「日本語としては違和感があるけど発音や意味は自然」

というスピッツワールドが展開されています。

 

ここで①②を「チェリー」に当てはめてみます。

「愛してるの響きだけで強くなれる気がしたよ」

まずこれを朗読してください。

恥ずかしがらず。

新垣結衣を思い浮かべながら高らかに。

あるいは長澤まさみ。

女子は福士蒼汰。

 

どうですか?

アクセントを置く位置・音の上下の仕方が歌と同じでは?

具体的に書きます。

「愛してるの」「響きだけで」「強くなれる」「気がしたよ」の4パートに分けたとき、それぞれの頭にアクセントが来ませんか?

試しに「愛してるの」で「て」にアクセント置いてみてください。

違和感ありますよね?

 

続けて「プエルトリコ」と同じ発音で、「愛してるの」と言ってください。

これまた違和感ありますよね?

 

最後に音数にも触れます。

「愛してるの」を「大好きの」で代用してみましょう。

「の」が超長くなってしまいませんか?

メロディが先に決まっているので、ここで「大好きの」という言葉は使いたくても使えないんですね。

 

③「直接的な表現を用いずに、全体でイメージを作り上げる。」

インタビュー内容

これまた非常に興味深い発言なので、まんま抜粋。

ちょっと長いですがご一読あれ。

直接的に歌うっていうのも僕は否定はしないんですよ。

いいと思うんですけど、僕のやり方として、

絵描くのと一緒で例えばリンゴっていうものを描くとして、

それを油絵の具で描くとした時に、必ずしも赤だけで塗らないっていう。

青とか黄色とかも入れていくうちに、

なんかそういうほんとのリンゴの赤っていうのが見えてくるっていうところで。

言葉っていうのも全然関係ないようなとこからポッと入れたりとか、

全然その曲のタイトルと繋がらないような言葉とかをたくさん入れて、

それで結局タイトルの言葉っていうのは出てこなかったにしても、

そのタイトルをイメージさせるデッカいイメージみたいなのが構築されたらなっていう…。

マサムネのポリシーが全て詰まっています。

マサムネラーメン全部乗せです。

薄っぺらい白髪ねぎ、

中トロトロ味玉、

汚ったねえけど美味いチャーシュー、

全部乗っています。

スープは豚骨。

 

上について「チェリー」を用いて考えます。

「君を忘れない」

「曲がりくねった道を行く」

別れの歌と推測できる。

 

「産まれたての太陽」

→日の出??

 

「夢を渡る黄色い砂」

→?????

 

「二度と戻れない」

「くすぐり合って転げた日」

→あ、やっぱり別れの歌?

 

「きっと想像した以上に」

「騒がしい未来が僕を待ってる」

別れから進み出す歌だ!

 

「愛してるの響きだけで」

「強くなれる気がしたよ」

「ささやかな喜びを」

「つぶれるほど抱きしめて」

少し切ないけど踏み出す感じもする!

 

はい。

そしてここで、タイトルを見ると「チェリー」

歌詞中に「チェリー」という言葉は出ないけど、なんか全体的に見て春っぽい感じがする…?

チェリーだ!!!!!!

途中の「産まれたての太陽」や「夢を渡る黄色い砂」がよく分からずとも、全体で何となく「チェリー」を感じる。

マサムネはこれを狙ってやっています。

末恐ろしや。

 

2.技術面のまとめ

  1. 自然なアクセントの日本語を使う
  2. メロディの音数にあった日本語を探す
  3. 歌詞全体でイメージを作り上げる

要約すると、

アクセント・音数の制約がある中から自然な日本語を捻出し、細部ではなく全体を見たときにテーマが浮かび上がる歌詞にしている。

ということです。

 

全体のまとめ

今回のテーマは「難解であるはずのスピッツの歌詞が心に響く理由」でした。

難解である理由は「アクセント・音数の制約がある中で言葉を選んでいる結果、単体で考えると理解できない歌詞があるから」

それでも心に響く理由は「歌詞全体を聞いた際にテーマやイメージが聴き手ごとに浮かび上がるから」

と結論付けられます。

テクニカルなようで感覚的な部分もある。

草野マサムネは現代に生ける「詩人・俳人」というわけです。

 

にょ犬

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